「今どきの若者は」を繰り返す前に
一時期メディアで頻繁にとりあげられた「20代男性の4割がデート未経験」というニュース。
つい「うーん… 今どき男子は、若者は」とストーリーを組立てそうになりました。しかし情報の断片が飛び交う時代だけに、大切なのは元ネタにあたること。
内閣府男女共同参画局の《男女共同参画白書・令和4年版》を実際に確認してみました。
白書はA4用紙106枚の情報量!
まず驚いたのは情報量の多さ。どこに「20代男性の4割が~」と書いてある?と探したところ、106頁ある白書の49頁目、ひとつの小さなグラフが語っていました。
しかし白書から、ここだけ抜き出して報じるのは、なんとももったいない!
そもそも今年度の特集が
人生100年時代における結婚と家族
~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~
というもの。結婚に役立つ統計データが満載でした。
白書冒頭は次のとおりです(抜粋でご紹介)
もはや昭和ではない。
昭和の時代、多く見られた
サラリーマンの夫と
専業主婦の妻と子供、
または高齢の両親と
同居している夫婦と子供
という3世代同居は減少し、
2020年時点で夫婦と子供世帯の割合は25%
(40年前は約42%)
そして3世代等は7.7%
(40年前は約20%)
一人ひとりの人生も
長い歳月の中で
さまざまな姿を
たどっている。
2020年時点で、単独世帯の割合は38%
(40年前は約20%)
人生100年時代と謳われる中、
ひとり暮らしが 第1位の世帯数となりました。
こうした変化・多様化に
対応した制度設計や
政策が求められている
これが大人がやるべきこと。
若者のデート経験がない4割を、嘆いている場合ではありません。
そして単独世帯の約4割が、私にとっては衝撃でした。
サザエさんの世界はファンタジー
こうなると、私の大好きなテレビのサザエさん、もはや時代劇の領域です。
現在50代の私はサザエさん的世界とは地続きで、専業主婦が普通の時代に育ちました。(ちなみに共働き割合が50%を超え始めるは1995年以降です)
昭和世代が遠い日の記憶から「なんとなくの感覚」で「家族の在り様はこうだ」を思い込むと、社会変化と齟齬をきたすことも。
まして親子で婚活や結婚に対し「こうあるべき」を投影して、「うまくいかない」と感じて戸惑うのは避けたいところです。
男女共同参画白書を指針として
共働き世帯は、前世代にお手本(ロールモデル)があまりありません。結婚後の女性が(とりわけ出産・子育てしながら)仕事を続ける方法は、暗中模索の状態です。
結婚に対し不安になって当然です。
そもそも「結婚とは?」という問いは、「幸せとは何か?」につながる問いであるだけに、答えは人それぞれ。いろいろな人の意見に、いろいろに振り回されるのはやめましょう。
「政府統計を中心とした 各種統計データ及び 内閣府で実施した意識調査等」に基づいた男女共同参画白書は、だから多様なライフスタイルに対しても、大いに役立つ指針となります。
デート未経験で一喜一憂する前に、まずは現実把握から。
そして「自分にとっての幸せとは何か?」を、とことん考えるところから婚活は始まると思います。